直元流大長刀術


流儀の概要

 大長刀術は剛力の男子の武器として用いられ、奥州後三年の役頃より、 源平、鎌倉、戦国時代にかけて隆盛を極めた。直元流は中でも豪放なものであるが、 元亀天正の頃京に興り、慶長の頃津軽に伝わった。

 永く笠井家に道統が継承されていたが、天明二年、三上鋭助が笠井園右衛門尉 より免許皆伝を受けその伝を継承した。三上鋭助は直元流をもって津軽藩に仕えたが、 その養子貫一、姓を白取と改め爾来白取家は代々津軽藩の指南役となった。

 白取家四代千代次郎の時にその統は笹森順造に継承され、笹森建美に受け継がれた。 なお、笹森順造は白取イチ子にも手ほどきを授けた。(直元流門人帳による)

 用いられる大長刀は全長九尺以上で、刀部一尺八寸、柄七尺、石突二寸とされている。 技の特長は、水車、風車を秘法とする豪放なものであるが、相手の気の芽を止め、気を挫く、 斬刺、攉、止、不中、流の六法にある。

 技として、虎口詰、小車、関戸、乱絲、鉄貫、管絲、鸚鵡返、雲乱等があるが、 当流においては「請」事を嫌い、相手の討ってくる発気を止め、勢を不中し、挫く事を旨とする。 突には誘い止め、払いには流し空を払はせる等、相手の気を芽のうちに止め、あるいは、 気の盛なるを挫かせるところに極意がある。仕様としては、水車、切上、風車、仕手返、打落、 撞止、巻込、摺込等がある。徳川時代に入り、女子が学ぶ場合は大長刀の寸を七尺とした。

 その他伝承は棒合術、十文字合術等がある。

直元流大長刀術宗家 矢吹裕二

直元流大長刀術宗家


プロフィール
1970年2月10日福島県いわき市に生まれる
1992年警視庁入庁
1995年警視庁内武道専科にて小野派一刀流を学ぶ
1998年第17代小野派一刀流宗家、直元流大長刀術宗家笹森建美直門
2020年3月直元流宗家就任